2011年08月18日|房国の『興味津々旅に出よう』
今年のお盆休み、変わったことと言えば鵜飼を見に行ったことです。
私は学生時代、観世会部という能楽をやる部活に入っていましたが、今回の鵜飼はその部活のOB、Wさんにお誘いいただいたものでした。
能楽にはそのまんま「鵜飼」という演目がありまして、今でも能のお稽古を続けていらっしゃるWさんが今度舞台で「鵜飼」の一節を謡われると。
ついては実際の鵜飼を見に行きたい、という所から話は始まったようで、私はそれに便乗させて頂きました。
見に行ったのは関市の小瀬鵜飼。
同じ岐阜県内とは言え、僕も見るのは小学生以来2回目。
ワクワクしますっ!
小瀬鵜飼は奈良時代からの歴史がある、由緒正しき鵜飼。
今回の鵜匠、岩佐さんは全国で9人しかいない宮内庁式部職鵜匠の一人です。
夕日の沈みゆく長良川。
魅惑のトワイライトゾーンです。
鵜匠さん曰く、
「手をいっぱいに伸ばして、手のひらの運命線が見えなくなるくらいの暗さになったら鵜飼漁の開始」だそうです。
私達は屋台船から観覧。
勇壮な篝火、カッコよすぎです!
鵜匠さんが、
ひ、火だるま??
水面に照らし出される鵜のシルエット。
一度水に潜ると、かなり長い時間潜ったままなんですね。
過酷な労働に耐えてご主人様のために一生懸命鮎を取るさまは涙ぐましいです。
がんばれっ!
漁が終わったら一列に並び、消防団で言うところの、
「点検、報告!!」
今日の成果は・・・
・・・2匹。
・・・たったの?
・・・
・・・
・・・
「す、少なくないですか?」
思わず鵜匠さんに言ってしまいました。
鵜匠さんも渋顔。
あんなに潜っていたのに・・・。
そんな時、鵜たちの声が聞こえてきた気がしました。
『だってよ~、やってらんないよな~』
『どうせ取ってきても、食えねぇんだもん』
『一生懸命やってるフリしとこうぜ~』
『顧客満足もいいけど、社員満足も大切だよな~』
世知辛い世の中です。
さて冗談はさておき、
能には死んだ人の霊が現れるというパターンが多く見受けられます。
それは単なる怪奇現象というよりかは、
この世とあの世と、
見えるものと見えないもの、
そんな空間のハザマにおける妖艶なる美意識というものではないでしょうか。
暗闇の中、篝火に照らし出される鵜舟。
火に焼かれながら鵜を操る鵜匠。
姿を消したり現したりしながら、闇の中から鮎を取り上げる鵜。
まるで鵜舟と闇が、この世とあの世であるかの如くですね。
鵜飼を鑑賞したのちWさんと「鵜飼」一節、その名も「鵜之段」を川辺で謡いました。
『鵜籠をひらき取り出だし~ 島つ巣おろし荒鵜ども~♪』
周りの目を気にしつつも、久しぶりの能の謡い、楽しかったです。