2012年06月05日|房国の『興味津々旅に出よう』
6月3日4日と友人の結婚式で奈良県吉野郡川上村に行ってきました。
吉野と言えば「日本三大人工美林」のひとつ。
初めての吉野に、まさか結婚式絡みで行くとは思っていませんでした。
吉野林業の中心、川上村
地形は東白川よりも急峻、そして猫の額ほどの平地(?)に民家があります。
この辺りで言えば飛騨の方に似ていますね。
木は、もちろん、わんさかあります。
普通ha当たり2000~3000本の植林のところ、10000本の植林をして、多間伐長伐期、目の細かい木材生産を目指すのが吉野林業の特徴。
ですから余計に木が多く見えるかもしれません。
土壌はかなり岩が多いように見えました。
四方八方見渡す限りの山ですが、東白川と違ってあまり路網は入っていない様子。
吉野の代名詞ともいえる「ヘリ集材(ヘリコプターで木材を搬出)」のためでしょうか。
大滝ダムから吉野の山々を見る
昨年の台風12号で起こった山崩れ。
山のてっぺん付近から崩れています。
しかし、一大林業地としてある種の期待感を持ちながら足を踏み入れた私には少し違和感が。
チェーンソーや草刈り機の音がなく、山に人が入っている気配がないんですね。
よく見ると天気のいい月曜日だというのに、丸太を積んだトラックなどにはほとんど出会わない。
道沿い、川沿いに製材工場も少ない。
「なんだか・・・あまり動いていないんじゃないか?」
という仮説を持ちながら、乾燥とモルダー加工をしている「川上サプリ」さんに、ほとんどアポなしで訪問致しました。
理事長に色々話を聞く中で、私の仮説は間違っていなかったことが分かりました。
いえ、現実はもっと厳しいようです。
ヘリ集材は、材価が低く、しかも間伐主体となってきているこの時勢では採算割れをしてしまうでしょう。
ha10000本の超密植もコストがかかる割に、出来上がった商品に対する世の中の評価は、それで食べていけるほどではありません。
それを評価しない世の中がいけないのか、世の中の流れに対応できない伝統的産地がいけないのか一概には言えませんが、
明日の食い扶持を求めつつ、100年の生業を考えていかなければいけないこの林業の難しさ。
伝統的産地である吉野の苦悩は、私達よりももっと根の深いものなのかもしれません。
胸高直径1Mを超す木々が立ち並ぶ。
しかしここは展示林のような感じで、すぐ隣には細い木が立ち並ぶ。
山縣有朋から「樹喜王」の称号が贈られた
この地の林業の第一人者、土倉庄三郎翁の銅像